「データは騙る」おもしろかったです

この本が浅学な私に数値・統計データという客観的かつ信頼感のある情報さえそれを作る人の手によって都合よく見せることができるものだということを教えてくれた。))

 

毎朝わが家のTVはくだらない報道気取りのワイドショーを映している。この手の番組は世間で起きた出来事を取り上げ呼ばれた専門家が、とりわけ低俗なものでは芸能人や局のアナウンサー・記者のこともあるが、その背景や真意についての推察を講説している。

自らの考察を放棄してTVの専門家の意見に委ねるのが楽なのか、単にワイドショーの雰囲気がウケるのかは社会不適合者の私の知るところではないが、この手のものはどの局でもおはようからゴールデンタイムまで永遠と電波に乗って全国に届けられている大人気ジャンルだ

しかし斜に構えたインキャラおたくクンの私としては、専門家等の考えはせいぜい視野を広げるための足掛けや参考に留めるもので、情報を集めて取捨選択し組み立てることで真意や背景を推測するのは自身で行うものだと思う。

長い前置きはここまでで、そんなニュースと同様、嘘をつけないように見える数値や統計のデータについても提供者の意図を考える必要があるといった意識を強く持たせてくれたのが本書「データは騙る」だ。

 

データは騙る: 改竄・捏造・不正を見抜く統計学
 

 

 

この本は著者の経験談と統計・データ分析にまつわる事例や史話(汚染された井戸水がコレラの原因だと結論づけたジョン・スノウ氏等)を基に、データを眺めて法則性を見出す分析は慎重に行う必要性があること、グラフは原点値の確認などを行い作為的に歪められたものでないかを判別すること、などのデータと関わる際に重要な心構えをいくつか説いている。

各章を1つのエピソードが代表しており、その話を基に心構えについての主張が書かれている。普段まったくもって読書などしない私にとっては多めに感じる章数だったが、ほぼ独立した内容のため気になる箇所から飛ばし飛ばしでよく、文章内の言い回しのユニークさのおかげで堅苦しさは皆無なため、今迄の自身の凝り固まった頭から目から鱗が落ちるような面白くかつためになる話を苦なく楽しく気楽に読むことができた。

底辺とはいえ学生のため論文を読むことが多い。論文の著者は自らの研究成果をアピールする、そのため内容は主張にとって都合の良いもののみが選択される。本書に触れて以降は、実験条件・内容・結果などについてそれが都合の良い不自然なものになっていないかを強く意識しながら読むようになった。

また、紙内で取り上げられるテーマの1つ「後ろ向き研究」はこれまで意識していなかった考え方のため、自身の卒研もこうならないよう注意する必要性を感じている。

 

人生終わってるオタクくんだから生まれてこのかたこういう本をまったく読んでこなかったけど、読んでみたら面白いし人生の20数年をすでにドブにすてたんだなぁと思いました。

 

データは騙る: 改竄・捏造・不正を見抜く統計学